音域を広げる効果的なトレーニングとは?オススメの方法と高音&低音の違いのまとめ

「歌える音域を広げたい!」「高音や低音をもっと出してみたい!」
そんな風に、歌を志す方なら誰もが「広い音域」に憧れたコトがあると思います。
ボク自身もずっと音域を広げるコトに憧れて、日本やアメリカにて様々なボイストレーニングを受け、音域を広げるコトにチャレンジして来ました。
その甲斐あって、今では音域は当初よりも広がって、自由にラクに気持ちよく歌えています。
そんなボクがお伝えできる「音域を広げる効果的なトレーニングについて」これからこの記事で具体的にお伝えして行きます。
Contents
音域を広げる前にまず知っておいた方が良い3つのポイントとは?
具体的な内容に行く前に、これだけは知っておいた方が良い「3つのポイント」について、先に解説して行きます。
これを知っているのと知らないのとでは、実際に音域を広げるトレーニングをする際に結果や効果が違って来ます。
ですので、是非とも繰り返し読んで、深く理解をしてみてください。
1. 歌の練習をとにかく頑張れば音域が広がるワケではありません
音域の広げ方について、アナタはもしかしてこんな風に思っていませんか?
- とにかく歌の練習を頑張ったり、練習時間を増やせば音域は広がる
- 自分の音域に合っていない曲を、無理して歌っていればそのうち音域は広がる
- 音域が広い歌手の曲を歌ったり、モノマネをすれば音域が広がる
- 高い音と低い音の練習を重点的にやれば音域は広がる
- 腹式呼吸や腹筋への意識をもっと強くすれば音域は広がる
これに対して、もしも1つでも「YES」だと思っていたら、それは大きな間違いだと知ってください。
実は、ここに書いたコトは全て、音域を広くしてくれる正しい方法ではありません。
音域は、スポーツ根性丸出しの努力でやっても効果はなく
アプローチの方向性が間違っていたら音域は全く広がってくれません!
2. 音域を広げる前に、先に完了しておく必要があるコトがあります
そして、音域を広げるアプローチに取り掛かる前には、今ある音域をもっと充実させて響かせるコトを、先に完了しておく必要があります。
なぜなら、音域というのは、今ある音域を広げるコトでのみ伸びて行くモノだからです。
以下の表は、今ある音域の充実度の違いを表にしたモノです。
今ある音域が充実している | 今ある音域が不十分である | |
歌いやすさ | 歌いやすい | 歌いにくい |
歌の気持ち良さ | 気持ちよく歌える | 歌うと苦しい |
歌の自由度 | 自由自在に歌える | 不自由にしか歌えない |
音域の広がりやすさ | 自由に広がりやすい | 元が不自由なので広がりにくい |
このように、今ある音域が充実していればいるほどに、音域はより自由にラクに広がって行きます。
逆に、今ある音域の響きが不十分であれば、音域の伸びは不自由で苦しいモノになります。
つまり、音域を伸ばそうとする前に
まず、今ある音域の充実度をアップさせるコトがとっても大切なのです!
3. 音域を広げるには長い時間がかかるので忍耐力が必要です
音域を広げて、早く自由に歌いたい気持ちはわかりますが、焦りは禁物です。
なぜなら、音域を広げるにはとっても長い時間がかかって来るモノだからです。
いきなり急に、全く出なかった音がある日突然出るというコトは極めて稀です。
通常は長い時間をかけて、半音ずつゆっくり少しずつ音域は広がって行きます。
そのためには、正しいアプローチを根気よく継続して行く必要があるので、少しずつ練習を積み重ねて行くコトがとっても大切です。
そして身体が楽器なので、調子の悪い時は休むなどして、ゆったりとした心構えで取り組みましょう。
音域を広げるには足し算ではなく引き算のアプローチが有効です
音域を広げようと思ってまず最初にやりがちなのは、何かを足そうと頑張るコトです。
ですが、ほとんどの場合で音域を広げるためには、引き算のアプローチを用いることが大切になります。
その理由は、無意識でやっている不必要なコトや、習って身につけた無駄なコトが、音域が広がるコトを妨げている場合がとっても多いからです。
ですので、その音域が広がるコトを妨げている原因を、引き算のアプローチで取り除けば良いのです。
ボクが、1000人以上の声と向き合ってきた中でも、多くの方が引き算のアプローチにて音域が広がった事実があります。
音域を広げるための足し算と引き算のアプローチの違いとポイントのまとめ
以下にある表は、足し算と引き算のアプローチをまとめたモノです。
この表を把握するコトで、それぞれのアプローチの違いとポイントを知るコトができます。
足し算 | 引き算 | |
腹式呼吸 | 意識する | 意識しなくて良い |
腹筋 | 力を入れる | 力を抜いてリラックス |
息の量 | 多め | 少なくて良い |
練習の頻度 | 絶対に毎日練習する | 調子の悪い時は休んで良い |
音域の広げ方 | 限界まで頑張って広げる | マイペースで少しずつ広げる |
このように、足し算と引き算のアプローチは全く異なっていて、音域を伸ばすためには引き算のアプローチの方が効果的です。
なぜなら、音域を伸ばすというコトは「未知の能力を開発する」というコトだからです。
つまり「音域がどのぐらい広がるのか?」「どのぐらいの期間かかるのか?」については、事前に把握するコトができないというコトです。
結果が予測できないコトに対して、全力で頑張って足し算を続けると、誰でも疲れてギブアップしてしまします。
そして何より、音域を伸ばすためには時間と忍耐力が必要なので
足し算よりも引き算のアプローチの方が継続しやすいのです
腹式呼吸や腹筋を頑張るコトは実は音域を広げるのに逆効果です
日本では多くの方やボイストレーナー、歌の先生が勘違いしていますが、腹式呼吸の意識や腹筋を使って歌うコトを頑張っても音域は伸びてはくれません。
むしろ、このどちらを頑張るコトも、音域を広げるコトには逆効果になってしまいます。
よく考えて欲しいのですが、もし腹式呼吸や腹筋が上手くできれば音域が広がるのであれば、全てのスポーツ選手が音域が広いコトになるでしょう。
ですが、実際はそんなコトはなく、どんなスポーツ選手も音域は人それぞれです。
以下のリンクに腹式呼吸や腹筋のコトについてより詳しく解説してあるので参考にしてください。
高い音と低い音では、音域が伸びる限界やアプローチがそれぞれ異なります
これも勘違いしているボイストレーナーや歌の先生が多いのですが、そもそも高音と低音では音域を伸ばすためのアプローチが異なります。
そしてもう1つ知っておいて欲しいのですが、実は高音と低音の音域の広がり方も全く異なります。
高音の方がどちらかというと音域は広がりやすいので、トレーニングが効果的です。
そして一方で、低音は持って生まれた低さが限界ですので、あまり音域が広がらないのが特徴です。
これらの違いについてよく理解した上で、音域を伸ばすトレーニングをしないと喉や声帯を痛めてしまう可能性が大きいので、しっかり把握してからトレーニングをスタートしましょう。
高音の音域を伸ばすために必要なトレーニングと具体的なやり方
それではこれから、高音の音域を伸ばすためのトレーニングと具体的なやり方について説明します。
写真では、がっつりと筋肉のトレーニングを意識させるモノを使っていますが、実際は引き算のアプローチですので、とってもゆるい内容なので安心してください(笑)
高いその1音だけを伸ばそうとするトレーニングは効果がありません
楽曲を歌っていて、ある高い1音だけが出ないとします。
すると、その1音だけを伸ばそうとしてトレーニングをしてしまう方が、実はとっても多いのです。
ですが、これでは効果は期待できませんし、場合によっては喉を痛めてしまう原因になります。
なぜなら、高い1音だけが問題なのではなく、その音を含むフレーズ全体やそこに至るまでの途中の歌い方など、他の原因が絡んでいてその1音が出せないからです。
高くて出ない音やきつい音だけを練習するよりキーを少しずつ上げた方が効果的
ですので、高い1音を含む1フレーズを抜き出して、まずは歌唱が可能な低めのキーで練習します。
1フレーズとは、息継ぎをして歌い始めてから次の息継ぎをするまでの集まりを指します。
低いキーでスムーズになってきたら、そこから1つずつキーを上げて行きましょう。
途中で苦しくなればまたキーを下げて歌ってみての繰り返しをするコトで、最終的には出なかった1音が少しずつ出せるようになって行きます。
これが高い音を伸ばす際にまず最初に必要なアプローチとなります。
また、高い声について詳しく書いた記事がありますので、コチラも参考にしてください。
サビの高音が出ない原因は、そこに至るまでのAメロやBメロの歌い方にあります
先に書いたように、1フレーズを取り出して歌ってみた場合に、高い音が問題なく出るコトがあります。
ですが、また楽曲の最初から歌ってみると、やはり高い1音が出ない症状に陥ってしまうコトが実はとっても多いのです。
このような場合は、高音が出ない原因がそのフレーズの中には存在しないコトが多いです。
多くの場合で、出ない高音は主にサビにあります。
ですが、その高音が出ない原因はサビにあるのではなく、サビに至る前のAメロやBメロの歌い方や声の出し方が良くないコトにあるのです。
ですので、このような場合はサビではなく、AメロやBメロの問題を解消するコトで
出せなかったサビの高音が自然とラクに出せるようになります!
箸・ボール・ベルトなどのグッズを使ったやり方はオススメしません
巷では以下の方法で高音の音域を伸ばそうとさせるアプローチがあります。
- 割り箸を奥歯で噛んで歌う練習をする
- ヨガボールに乗りながら歌う練習をする
- ベルトでお腹をきつく締めて歌う練習をする
ボクはこれらのアプローチを全くオススメしていませんし、本場アメリカでもこれらは効果がないアプローチとして考えられていました。
なぜなら、これらの方法は全て、グッズを足し算するコトで成し遂げられるからです。
先にも述べましたが、音域を伸ばすために大切なのは何かを足すコトよりも引くコトです。
このようなグッズに依存する練習よりも
どうせなら好きな曲を練習して歌を楽しみながら音域を広げましょう!
低音の音域を伸ばすために必要なトレーニングと具体的なやり方
それでは高音の次は、低音の音域を伸ばすアプローチについて詳しく解説して行きます。
先にも述べたように、高音は音域を伸ばすコトが比較的自由にできますが、低音に関してはあまり自由に音域を広げるコトができません。
なので、その限られた可能性の中で、以下に述べるポイントを押さえるコトが大切です。
人は持って生まれた低さの限界を超えて音域を広げるコトはできません
人の声の高さは、持って生まれてきた声帯の長さで決まり、声帯が短い方が声が高く長い方が声が低くなります。
ですので、生まれ持った低音の限界を突破するためには、声帯の長さを増やすコトが必要になってきますが、それは手術でもしない限りは不可能なコトなのです。
ただし、生まれ持った低音の限界まで出せてない場合に限り
その限界までであれば、低音の音域を伸ばすコトが可能なのです。
低い音を限界まで伸ばすには、胸や全身に入った無駄な力を抜くコトが大切です
低い音というのは、基本的に胸や肺の部分の広い空間を中心に響きます。
低い声で「あ〜」って声を出しながら胸に手を当てると、ビリビリと振動が手のひらに響くのが感じられるハズです。
ですが、胸や全身に無駄な力が入っていると、胸や肺の部分があまり響いてくれません。
そしてこのコトが原因で、低い音を限界まで出せない場合がとっても多いのです。
なので、低い音を限界まで伸ばしてみたい場合はまず、胸や全身に入っている無駄な力を抜いて歌えるように練習しましょう。
そして、それさえできれば
自然に低い音の音域の限界が伸びて低音が安定してくるハズです!
ある程度やってダメなら過剰な練習は禁物。音が割れたら要注意です
低音の練習中に、以下のチェックにどれか1つでも当てはまったらそこで練習をストップしましょう。
- 声の低い部分の音がバリバリと割れて来た
- 声が掠れたり枯れて来た
- 喉が痛くなったり痒くなって来た
- 咳き込んだりむせてしまった
この4つのうちどれか1つでも当てはまったら、その練習で喉に負担をかけてしまってます。
ですので、すぐに練習をストップして、しばらく喉をゆっくり休めてみてください。
そしてもしも、何度もこの症状が繰り返される場合は、それ以上低い声は出ないポイントまで到達しているという可能性が高いです。
なので、それ以上の無理はせずに
自分が出せる範囲の音域をもっと充実させるコトにエネルギーを使いましょう!
男性と女性では音域こそ違いますが、アプローチに違いはありません
男性と女性の声は様々なポイントで異なりますが、音域を広げる点ではアプローチは全く同じです。
これまで説明してきたアプローチを用いるコトで、男性も女性も音域を広げるコトが可能です。
ですが、男女で声の性質上の違いがありますので、以下に補足として解説しておきます。
平均的な音域は女性の方が高く男性の方が低いです
音域については、女性の方が男性よりも平均的に高い傾向にあります。
そして、男性の方が女性よりも平均的に低い傾向にあります。
ですので、男性が女性曲を原曲キーで歌おうとすると、音が高くて苦しくなってしまいます。
また逆に、女性が男性曲を原曲キーで歌おうとすると、低くて大抵の場合は歌えません。
これらは、男女の平均的な音域の違いから生まれてくる自然な症状なのです。
ですので、異性の曲を無理して原曲キーで歌えなくても大丈夫というコトになります。
一概に男性・女性と言っても、それぞれの中で音域や声質は個人差があります
基本的には異性の曲を原曲キーで歌うコトは苦しかったり不可能だったりします。
ですが、女性曲を余裕で歌える男性や、男性曲がラクラク歌える女性が存在するコトも事実です。
なぜなら、男性・女性といっても、それぞれの中で音域や性質に個人差があるからです。
このように平均的な高さとは異なる音域の声を持つ方は、男女問わず多くの割合で存在しています。
この場合は、たとえ女性だからといって平均的な女性のキーに合わせる必要はありません。
その逆も同じで、男性だからといって平均的な男性のキーで歌う必要はないのです。
どちらの場合も
自分にとってピッタリのキーを探してそのキーで歌えば良いのです。
性別でアプローチを変えたりせずに、同じ声としてトレーニングしましょう
これらの理由から、性別でアプローチを変えたり、平均的な高さを目指してトレーニングをするコトは、全くもって無意味で効果がないのです。
歌に関して言うと「男性だから」とか「女性だから」といった言葉を気にする必要は全くありません。
それよりも「自分だから」という言葉が大切だし、自分自身の感覚が大切なのです。
ですので、自分自身が歌っていてラクで気持ちの良い
自分にぴったりの音域を自分の感覚で探していくコトがとっても大切です。
まとめ
この記事の内容をよく読んでマイペースに実践をするコトで、少しずつ音域を広げるコトができます。
ただし、無理は禁物ですので、頑張り屋さんや真面目な方は練習のやりすぎに注意してください。
もしも声や喉に不調が出たらすぐに休むようにして、時間が経っても回復しない場合は耳鼻咽喉科で診療を受けましょう。
そして音域を広げるコトよりも大切なことは、気持ちよくラクに楽しみながら歌うコトです。
ついつい練習を始めると忘れがちですが、その初心を忘れないように歌を楽しんで行ってください。